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第69回NHK杯1回戦第6局
▲松尾歩 八段 vs △ 村山慈明 七段

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~戦型~
6手目△32金。
松尾八段、村山七段共に居飛車党です。本局は相掛かりになりました。相掛かりの定跡は比較的整備されていないため力戦系の将棋になりやすい戦型の一つです。


      (6手目△32金)

 

~序盤戦~
29手目▲29飛車。
同型の形で先手は▲29飛車と引き自陣に隙の無い形を作ります。


     (29手目▲29飛車

~先手の工夫~
33手目22角成。
後手が△86歩と突いてきたタイミングで▲22角成が先手の工夫です。単に▲86同歩は以下、△同飛▲87歩△76飛(変化図)となり互角ながら後手不満のない展開となります。


      (33手目▲22角成)


     (変化図△76飛車まで)

~角の設置~
40手目△64歩。
先に角を設置しておくことで△76飛には▲77銀で飛車を取ることが出来ます。本譜は後手の△64歩に▲24歩と合わせていきましたが▲95歩(変化図)が優ったようです。△同歩は▲92歩△同香▲93歩で香を取ることが出来ます。△65歩と角を追われても▲77角が飛車に当たります。


      (40手目△64歩)


    (変化図▲95歩まで)

~先手動く~
65手目▲33角成。
互角の応酬が続きついに先手から角を切っていきました。
△同金は▲22歩があるため△同桂と取り返します。先手は駒損ながらも自陣が安定しており互角の局面です。


     (65手目▲33角成)

~後手のミス~
72手目△24桂打。
後手は24桂と打ちましたが▲65銀と取られ、損となったようです。
△24桂に変えて△64歩と支えておき互角でした。

75手目▲56桂打。
続けて後手が△36桂と金取りにしてきた手に対して▲56桂が好手です。▲49金と逃げると△99角成で後手も戦える局面になります。

 

~終盤の急転直下~
108手目▲64歩。
終盤戦。玉が露出しながらも飛車を持った先手が優勢の局面。ここで▲64歩と打ちましたが敗着となりました。▲72角(参考図)と打つ手が良かったようで、以下△62金には▲63銀。△62銀打には▲61飛車成(参考図2)としておき、駒不足の後手が苦しい局面でした。


     (108手目▲64歩打)


    (参考図は▲72角まで)


   (参考図2▲61飛車成まで)

~後手勝勢~
112手目△68銀打。
後手が△68銀打詰めろ飛車取りをかけた下図の局面は△57馬の詰めろが受けづらく、後手玉に寄せがないため後手の勝勢となりました。


     (112手目△68銀打)

~終局~
126手目△88銀成。
本局は村山七段が相手玉を危険地帯に誘いだし、実戦のアヤをうまく生かし勝ちきった一局でした。



△88銀成まで、126手で村山七段の勝ち

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