第69回NHK杯1回戦第2局
先手▲長谷部浩平 四段 vs 後手△屋敷伸之 九段
~戦型~
10手目△77角成。
後手の屋敷九段が角換わりを採用。
1回戦第1局の大橋vs千田戦と同じ形。棋譜中継されたプロ公式戦全938局(2018年9月)
のうち角換わりは150局。内訳は先手83勝、後手67勝、先手勝率は55.3%となっています。
(10手目△77角成まで)
~序盤~
37手目▲29飛車。
両者ともに48金29飛車型を採用。陣形バランスがよく、近年の角換わりでは主流となっています。
先手は途中で▲66歩を突いており最終手で合流している形。ここで後手が△44歩と突くと▲45歩と仕掛ける手が有力となっています。
(37手目▲29飛車まで)
~仕掛け~
38手目△65歩。
後手の屋敷九段が△65歩と仕掛けました。本譜▲同歩△同銀に▲58玉とかわし戦場から玉を逃がします。▲58玉では、▲同銀△同桂▲66銀△64歩▲63歩(変化図)の展開も考えられました。
(38手目△65歩まで)
(変化図▲63歩まで)
~先手有利に~
61手目▲63歩。
先手が後手の攻めをうまくかわし▲63歩と反撃した局面では先手有利。
角換わりの形でよく出てくる形で、△同金には▲72角が生じます。
(61手目▲63歩まで)
~混戦に~
81手目▲57銀。
長谷部四段は玉の薄みを補うため▲57銀と補強しましたが互角の形勢に戻りました。
この手では▲36馬と引き、次の▲85桂△83飛▲63歩成り△同金▲72銀を狙う手が優ったようです。
(81手目▲57銀まで)
~痛恨のミス~
112手目▲22銀。
先手は▲22銀と王手をかけましたが痛恨のミスとなってしまいました。
▲22銀にかえ▲33金△同金▲22銀△41玉▲33銀成り(変化図)がつめろで先手優勢でした。
本譜は▲22銀△同金▲同桂成り△41玉となり後手玉を寄せきることが難しくなり、次に後手からの△84飛車(▲同飛車は△同角で詰み)が残り後手優勢となりました。
(112手目▲22銀まで)
(変化図▲33銀成りまで)
~終局へ~
117手目▲33金
長谷部四段も後手玉に迫っていきますが▲33金が敗着となってしまいました。
この手が詰めろでないため△84飛車で後手の勝ちとなりました。
ここでは▲63歩成り(詰めろ)とし、△同金に▲33金としていく他なかったようです。
屋敷九段の形勢を損ねてからの実践的な勝負術が垣間見れた一局でした。
(117手目▲33金まで)
(投了図△87銀)
△87銀まで138手で後手屋敷九段の勝ち
▲増田康宏 六段 vs△西田拓也 四段
▲畠山鎮 七段 vs △佐々木大地 五段
▲谷川浩司 九段 vs △安用寺孝功 六段