第69回NHK杯1回戦第3局
先手▲増田康宏 六段 vs 後手△西田拓也 四段
~戦型~
増田六段は居飛車党、対する西田四段は振り飛車党であり、対抗系が予想されました。
後手の西田四段が四間飛車を採用します。
(8手目△42飛まで)
~序盤~
12手目△72銀。
藤井システムを見せる。
藤井システムは居玉のまま攻めを構築する作戦。1995年の順位戦B級2組の藤井対井上戦で公となり、現在でも有力な作戦として知られています。
本局は玉を囲い合い、古くからある居飛車対四間飛車となっていきます。
(12手目△72銀)
~穴熊へ~
29手目▲88銀。
先手は穴熊を採用。最有力の作戦であり、特に時間の短い対局であれば有力な作戦です。
(29手目▲88銀)
~仕掛け~
39手目▲35歩。
先手の増田六段が35歩と仕掛けました。
△同歩▲24歩△同歩に▲65歩(下図)が狙いの手。角交換後の飛車先突破を狙います。▲35歩と突き捨てる意図は、33に桂が跳ねた際の▲34歩の狙いや▲24飛とした際、54の地点まで飛車が効く利点があります。
(39手目▲35歩)
(43手目▲65歩)
~後手のミス~
44手目△77角成り。
後手は角を交換しましたが▲同桂で損となる局面のようです。
△77角成に変えて△65同桂とし以下▲33角成△同桂▲24飛△57桂成り▲同金△48角(変化図)で互角の形勢でした。
(44手目△77角成)
(変化図△48角まで)
~先手のミス~
57手目▲66馬。
後手の△95歩に対して▲66馬と引き、馬を消しに行きましたが△同馬▲同銀△33角(下図)で先手やや有利ながらも損となりました。△95歩には▲同歩が最善だったようです。
(57手目▲66馬まで)
(60手目△33角)
~後手痛恨のミス~
76手目△73銀。
後手は△73銀と受けましたが敗着となったようです。最善は△94香でした。
以下▲64角成△76桂(詰めろ)▲65馬△68桂成り(変化図)が詰めろで後手に分のある形勢でした。
(76手目△73銀まで)
(変化図△68桂成まで)
~終局へ~
83手目▲63歩。
先手の▲63歩が厳しく△同金は▲61龍と金をとれます。
以下数手で後手の投了となりました。
本局は増田六段の正確な序盤の攻めが際立った一局でした。
(83手目△63歩)
▲62歩成りまで、93手で増田六段の勝ち
▲畠山鎮 七段 vs △佐々木大地 五段
▲谷川浩司 九段 vs △安用寺孝功 六段
▲松尾歩 八段 vs △ 村山慈明 七段