第69回NHK杯1回戦第7局
先手▲福崎文吾 九段 vs 後手△都成竜馬 五段
~戦型~
11手目▲78金。
本局は先手の福崎九段が雁木囲いを採用しました。近年流行している囲いで、バランスを重視しています。対する後手も△42玉と上がり相居飛車となりました。
(11手目▲78金)
~序盤の隙~
29手目▲57銀。
何気ない序盤戦ですが好題材なので取り上げます。本譜は△73桂でしたがここで後手から優位を築く手順がありました。
(29手目▲57銀)
正解は△65歩。
すぐに仕掛ける手が成立しています。▲同桂は△64歩で桂馬が取られるため▲同歩ですが以下△75歩▲同歩△86歩▲同歩△同飛▲87歩△76歩(変化図2)が狙いで後手優勢になります。角が79の地点のため隙が生じていたようです。
(変化図△65歩)
(変化図2△76歩)
~先手仕掛ける~
32手目△65歩。
先ほどの局面から△73桂▲46銀の交換が入って下図の仕掛け。以下▲57角△75歩(2枚目)の局面で好手がありました。
(32手目△65歩)
(34手目△75歩)
35手目▲55歩。
▲55歩と後手の角道を止める手が好手でした。▲46銀が存在感を示しています。以下、先手は後手の攻めを受け流すことに成功します。
(35手目▲55歩)
~先手有利となる~
68手目△24同歩。
先手の福崎九段がうまく立ち回り、下図の局面は玉頭に拠点を作った先手が有利です。先手の次の一手が優勢を決定づけました。
(68手目△24同歩)
▲64歩と銀取りに歩を打つ手が好手。△同銀は▲54桂。△同飛は▲55銀△74飛▲64歩とやはり歩を打たれ、金駒を持たれると33に打ち込む手が厳しくこの手で先手優勢がはっきりしました。
(69手目▲64歩)
~先手が決める~
84手目△45桂。
先手が飛車先を突破することに成功しました。下図の局面は次の一手の決め手があります。
(84手目△45桂)
▲32飛成。が決め手です。△同金は▲52銀で詰みとなるため、後手は受けがなくなりました。
(85手目▲32飛成)
~終局~
103手目▲82飛。
本局は福崎九段が後手の攻めをうまく受け止め、優勢になってからは一気の寄せを見せた将棋でした。
(103手目▲82飛)
▲82飛車まで、103手で福崎九段の勝ち